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Web3のバリデーター運営の開始、運用、課題、今後の取り組みについて

 Web3のバリデーター運営の開始、運用、課題、今後の取り組みについて

GREE Tech Conference 2023で発表された資料です。
https://techcon.gree.jp/2023/session/TrackC-3

gree_tech
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October 13, 2023
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Transcript

  1. Web3のバリデーター運営の開始、運用、課題、今後の取り組みについて
    Ver1.0 橋本

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  2. ● イントロ
    ○ BLRD、ブロックチェーン、各種ブロックチェーン、バリデーター
    ● 目的
    ○ 発表、バリデータプロジェクトの目的
    ● 参入を阻む壁
    ○ 用語理解
    ○ 技術:電子署名、アドレス、ハッシュ
    ○ トークンの流れが難しい。
    ○ 報酬の種類と管理(ガス代と利息)
    ○ サーバー運用
    ● 今後の取り組み
    ● まとめ
    2
    目次

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  3. ● BLRD PTE LTD.はグリーの子会社
    ○ ブロックチェーンに関わる仕事
    ■ バリデータの運用によるトークン運用
    ■ ゲーム開発
    ● 橋本の役割
    ○ BLRDのインフラ管理
    3
    イントロ

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  4. ● イーサリアム系
    ○ Oasys
    ■ ゲーム用、イーサリアムの派生 :L1
    ○ Polygon
    ■ イーサリアムのL2(イーサリアムの信頼の上に成り立っている )
    ○ Ronin
    ■ ゲーム用、イーサリアムの L2(イーサリアムの信頼の上に成り立っている )
    ● Avalanche
    ○ 汎用、複数のチェーンを前提としているチェーン :L1
    ● Sui
    ○ Move系(旧Facebook由来)のチェーン:L1
    4
    バリデータの運用をしているチェーン
    L1=Layer 1 : 他のチェーンのよらず PoSやPoWでブロックを生成するチェーン。
    L2=Layer 2:ブロックチェーンの最終的なハッシュをイーサリアムに書くもの
          イーサリアムの信頼性の上に成り立っているチェーン。
    LayerZeroやCosmos IBCはチェーン間の通信プロトコル。

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  5. ● 発表の目的
    ○ BLRD PTE LTD.ではAvalanche, Oasys, Ronin(Axie), Polygon, Suiの各チェーンのバリ
    データー運営を行っています。
    ○ ブロックチェーンには興味があるけど、開始にあたってのリスクがわからないとか、サーバーの管
    理が難しいのではないかと不安があるのではないでしょうか。
    ○ バリデーターの運用上のリスクや課題を挙げつつ、どのように解決していくのか、また今後の取り
    組みについて話します。
    ○ 今回の発表がバリデーターの新規参入者の助けになれば嬉しいです。
    ● プロジェクトの目的
    ○ Web3の技術に親しむ。(最終的には Web3のゲーム開発のため。)
    ○ バリデーターを立ち上げ Web3コミュニティに貢献する。
    ○ Web3コミュニティからの支援を受ける。
    ○ バリデーターを安定稼働させる。
    ○ 資産を安全に運用する。
    ○ 売り上げを把握する。
    5
    目的

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  6. ● イントロ
    ○ BLRD、ブロックチェーン、各種ブロックチェーン、バリデーター
    ● 目的
    ○ 発表、バリデータプロジェクトの目的
    ● 参入を阻む壁
    ○ 用語理解
    ■ 技術:電子署名、アドレス、ハッシュ
    ○ トークンの流れが難しい。
    ○ 報酬の種類と管理(ガス代と利息)
    ○ サーバー運用
    ● 今後の取り組み
    ● まとめ
    6
    目次

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  7. ● 用語理解
    ○ 技術:電子署名、アドレス
    ● トークンの流れが難しい。
    ● 報酬の種類と管理(ガス代と利息)
    ● サーバー運用
    ● 資産管理
    7
    参入を阻む壁

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  8. ● ブロックチェーン
    ○ ブロックと呼ばれる単位で トランザクション(取引) を管理し、鎖(チェーン)のように連結して保管す
    る金融取引履歴などで利用される技術のこと。
    ● 電子署名
    ○ 秘密鍵を持って、改竄不可能なサインをする。
    ● ウォレット
    ○ 電子署名をしてブロックチェーンの取引を行わせるもの
    ○ トークンの残高確認、トークンの送金などができる。
    ○ 口座に対応するものはアドレスと言われる。
    ● 暗号通貨(代替可能なトークン :ガストークンやERC-20)
    ● NFT(代替不可能なトークン :ERC-721)
    ● バリデーター
    ○ トランザクション(取引)を承認するサーバー、トランザクションの正当性を検証する。
    8
    用語理解

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  9. 9
    電子署名
    シードフレーズ
    アドレスA
    トランザクション
    (送金の命令)
    アドレスA アドレスB
    派生物
    電子署名
    ハッシュ値
    派生物
    秘密鍵:P
    アドレスAの所有者
    トランザクションの検
    証者
    検証
    取引が所有者によって発行され
    たものか電子署名の検証で確認
    できる。
    注意点:
    鍵は絶対に他人に見せてはいけない。

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  10. ● 用語理解
    ○ 技術:電子署名、アドレス
    ● トークンの流れが難しい。
    ● 報酬の種類と管理(ガス代と利息)
    ● サーバー運用
    ● 資産管理
    10
    参入を阻む壁

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  11. 11
    バリデータ業務のトークン
    法定通貨(円)
    イーサリアムのETH
    AvalancheのC-ChainのWETH
    AvalancheのC-ChainのAVAX
    AvalancheのP-ChainのAVAX
    Avalancheのバリデータに関わるトークンの例

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  12. 12
    バリデータ業務のトークンの流れ
    CEX
    中央取引所
    Bridge
    BLRDの
    金庫番
    法定通貨
    (円)
    ETH
    イーサリアム
    ETH WETH
    Avalanche
    c-chain
    DEX
    分散取引所
    WETH
    AVAX
    Avalanche
    p-chain
    AVAX
    (PoSのための
    担保金)
    バリデーターサーバー
    バリデータ報酬
    PoS
    注意点:
    ほとんどの作業に手数料 (Gas代)が発生!

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  13. ● 用語理解
    ○ 技術:電子署名、アドレス
    ● トークンの流れが難しい。
    ● 報酬の種類と管理(ガス代と利息)
    ● サーバー運用
    ● 資産管理
    13
    参入を阻む壁

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  14. 報酬の種類と管理(ガス代と利息)
    ● バリデーター報酬の種類
    ○ 掛け金の利息
    ■ 掛け金 = PoSを採用しているブロックチェーンでブロックを生成確率
    ■ 掛け金の利息(APY)はおおよそ5%〜10%
    ○ ユーザーのトランザクションの手数料
    ■ ユーザーがトランザクションを動かした手数料がバリデーターに入る。
    ○ デリゲーターの利息に対する手数料
    ■ デリゲーター:バリデーターのサーバーを運用せず掛け金だけ入れているユーザー
    ● 管理
    ○ 定期的に報酬回収が必要。
    ■ 報酬は複利ではないので、定期的に利息を掛け金に上乗せする作業が必要。

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  15. ● 用語理解
    ● 技術:電子署名、アドレス
    ● トークンの流れが難しい。
    ● 報酬の種類と管理(ガス代と利息)
    ● サーバー運用
    ● 資産管理
    15
    参入を阻む壁

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  16. ● サーバー運用で重要なものは何か?
    ○ SLAを守ること。チェーンに求められるスペックでサーバーを運用し続けることが大事。
    ○ セキュリティ:資産が盗難されたくない。
    ○ 費用:報酬に見合ったサーバーを使いたい。(黒字にしたい)
    ○ 定常作業:定期的に機能の更新や障害によるアップデートが必要。 SLAにも関係。
    ● SLA
    ○ バックアップ
    ○ 障害復旧
    ○ アップデート
    ○ 監視
    ● セキュリティ
    ○ 鍵の管理
    ● 費用
    ○ サーバースペックと報酬
    ● コミュニケーション
    16
    サーバー運用の課題

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  17. ● チェーンによってバラバラ
    ○ Oasys:特にないが障害中は報酬がない。
    ○ Polygon: 95%
    ○ Ronin: 99%
    ○ Avalanche: 80%
    ○ Sui:何かあれば4時間以内に対応
    ● SLA守るのは意外と難しい
    ○ データが2TBの時、EBS(125MB/s)でデータのコピーで5時間くらいかかる。
    ○ SLA 95%なら1日あたり1時間くらいサービスが止められる?
    17
    SLA

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  18. ● バックアップ
    ○ 素直にフルバックアップをすると SLAを満たせない。
    ○ ブロックチェーンのデータベースは LevelDBでファイルを閉じないとバックアップできない。
    ○ 差分バックアップが必要。 (例えば、AMIのスナップショットだと厳しい。)
    ○ アクティブスタンバイを用意するとサーバーの費用が増える。
    ● アップデート
    ○ アップデートの連絡方法がチェーンによりバラバラ、手順の整理や自動化が重要。
    ● 監視
    ○ メトリックの監視:チェーンごとに バラバラ
    ■ バリデーターの処理しているブロックの ID
    ■ サーバーの死活のメトリック
    ○ IOの負荷
    ■ IOPSが数千に及ぶため調整が必要。
    ● 障害対応
    ○ バックアップから復旧
    ○ バージョンアップやチェーンの巻き戻し
    18
    SLA守るためにすること

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  19. ● セキュリティで重要なのは鍵の管理
    ○ バリデーターのPoSの署名用の鍵
    ○ バリデーターの管理アカウント用の鍵
    ● バリデーターのPoSの署名用の鍵
    ○ サーバーにテキストファイルで鍵の保存が必要。
    ● バリデーターの管理アカウント用の鍵
    ○ PoSの掛け金および報酬管理用の鍵
    ○ ハードウェアウォレットの使用が推奨
    ■ 秘密鍵はオフラインで生成される。
    ■ デバイスの外に鍵を持ち出せない。
    ● マルチシグなど便利なウォレットのソリューションが使いにくい。
    19
    セキュリティ

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  20. ● サーバー運用で重要なものは何か?
    ○ SLAを守ること。チェーンに求められるスペックでサーバーを運用し続けることが大事。
    ○ セキュリティ:資産が盗難されたくない。
    ○ 費用:報酬に見合ったサーバーを使いたい。(黒字にしたい)
    ○ 定常作業:定期的に機能の更新や障害によるアップデートが必要。 SLAにも関係。
    ● SLA
    ○ バックアップ
    ○ 障害復旧
    ○ アップデート
    ○ 監視
    ● セキュリティ
    ○ 鍵の管理
    ● 費用
    ○ サーバースペックと報酬
    ● コミュニケーション
    20
    サーバー運用の課題

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  21. ● CPU
    ○ 電子署名の検証が多い。(あまりマルチコアは生かされない傾向)
    ○ 4coreから48coreまで。
    ● Memory
    ○ 8GBから128GBまで。
    ● ストレージ
    ○ 1TBから8TBまで。
    ○ LevelDBのデータに数TBのブロックとその状態を保存
    ○ 帯域やIOPSだけでなく、レイテンシーが重要
    ○ ローカルストレージが好まれる。
    ● ネットワーク
    ○ データアウトが定常的に多め(20Mb/s)
    ● 特徴
    ○ クラウドのサーバーよりオンプレ向きの構成(コンテナで運用するにはストレージが大きい。)
    ○ ステートフルな構成
    ○ 1台から4台構成までチェーンによって様々
    ● 費用
    ○ 月額:$600から$8000
    ○ APY収入に賄うなら 月額コスト * 12 / APY 必要。$8000なら$1.9Mでサーバーコストとトントン。
    ○ 高いのでアクティブスタンバイを置くのが難しい。
    21
    サーバーの特徴

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  22. ● コミュニケーションのツール
    ○ Discord、Telegram
    ○ 運営から障害対応やアップデートの連絡がくる。
    ● 基本的に英語
    ○ 業務にアサインできる人が制限される問題がある。
    ● 対応している人がエンジニアや営業の人だったりまちまち。
    ● 障害の場合の対応
    ○ Discordの確認
    ○ ログを確認して、場合によってログを送って運営の対応待ちが多い。
    ○ アプリの開発と違って、直接デバッグすることない。
    22
    コミュニケーション

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  23. ● 用語理解
    ● 技術:電子署名、アドレス
    ● トークンの流れが難しい。
    ● 報酬の種類と管理(ガス代と利息)
    ● サーバー運用
    ● 資産管理
    23
    参入を阻む壁

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  24. ● 毎月のオペレーション
    ○ 経理の方と売り上げの計上を実施
    ○ 利息の引き出しと掛け金として再ステーク
    ○ 利益の引き出し方法がチェーンごとにバラバラ。
    ● ガス代を確保しながら操作
    ○ 全額掛け金として使うと取引できなくなるので、多少残しながら作業が必要。
    ● 特定のツールでないと取引がよくわからないものがある。
    ○ アドレスが取引の変わるチェーン (AvalancheのPチェーン)
    ■ トレースが難しい。
    ● チェーンを跨いだトークンの移動に時間がかかる。毎月のオペレーションのボトルネック。
    ○ EthereumからPolygonへの移動:30分
    ○ PolygonからEthereumへの移動:3時間
    24
    資産管理

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  25. ● 個々のチェーンの運用のマニュアル化と複数人による運用
    ● 運用の自動化
    ● マネージドサービスの活用
    ○ AWSではMySQLからAuroraへ。
    ○ こういうのがweb3でも欲しい。
    ○ なかなかでてこないが、 avalancheは出したが。
    ○ そもそも分散していないので、個別に運用するのは無駄?
    ■ web3はみんな同じデータなのにバックアップを個別にとる必要?
    ● 低コスト化
    ○ サーバーのボトルネック解析とサーバースペックの最適化
    ● マルチクラウド化
    ● ゲームのためのチェーンの立ち上げ
    ● 技術としての面白みと理解
    ○ leveldb、golang/gc、bls12、スマコン、rust
    25
    今後の取り組み

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  26. ● 目的
    ● ブロックチェーンの説明
    ● 運用の課題と解決を共有
    ● 今後の取り組みの紹介
    26
    まとめ

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  27. END
    27

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  28. 28

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